スリランカのアーユルヴェーダリトリートを扱ってからはや十数年・・・。
ずっとちゃんとしたドクターにパンチャカルマについて教えていただきたいと思っていました。
謎のベールに包まれていたパンチャカルマ。
パンチャとは(ヒンディー語で「5つの」という意味。
カルマは「業、行為、宿命」という意味。
アーユルヴェーダ用語としてとらえると「5つの(重要な)施術」というようなニュアンスとして私は受け止めている。
パンチャカルマのことが知りたくて、アーユルヴェーダ施設に泊まる旅にスタッフやドクターに聞いていました。
「パンチャカルマとは何ですか?」
「パンチャカルマには最低何日必要ですか?」
インドのアーユルヴェーダ施設に聞くと最低40日必要と言われる。
スリランカの厳しめのアーユルヴェーダ施設のドクターに聞くと最低でも14泊15日必要と言われる。
緩めのアーユルヴェーダ施設に確認すると7泊でできると言われる。。
さらには宿泊設備のないアーユルヴェーダ施設では通いでもできると言われる。。。
パンチャカルマはアーユルヴェーダの手術みたいな施術だというドクターもいる。
質問をするドクターやアーユルヴェーダ施設によってこんなにふり幅が激しい説明もなかなかない。
お客様に紹介する立場の私としては非常に困った事態に陥っていた。
ちゃんとお客様に伝えたい。
2024年6月、長年の念願が叶い名医にパンチャカルマについて教えていただくことができた。
クルネーガラの名医、Dr. Mimali Isolohokara(以下ミマリ先生)。
彼女は、スリランカでアーユルヴェーダを学び、インドのヴァラナシでもアーユルヴェーダを学んだ非常に珍しく貴重な先生です。
アーユルヴェーダの手術ができ、アーユルヴェーダの先生を教える立場にあるドクターで、
Ayurveda Consultant Surgeon, MD (Shalya), Pg D (Hos. Mgt), B.A.M.S.(HONS)というスリランカに5人しかいないタイトルを持っています。
一言で言うと「スリランカ国内でナンバー5に入る名医」です。
私は満を持して、いつもの質問をしました。
「What is Pancha Karma?」
ミマリ先生の回答はとても真摯なものでした。
「パンチャカルマの前にアーユルヴェーダの基礎の基礎を説明します」
この回答で私の胸は高まりました。
この人は本物だ!
と確信したのです。
アーユルヴェーダとは?
恐らくアーユルヴェーダを調べると「ドーシャタイプ(体質)」「ヴァータ(風)」「ピッタ(火)」「カパ(大地)」という言葉が出てきます。
パンチャカルマやドーシャタイプの前にまず「アーユルヴェーダって何?」という話を1時間ぐらいしていただきました。
すごーく重要な部分だけご案内します。
アーユルヴェーダは約5000年前から存在する医療であり哲学です。
そしてアーユルヴェーダの目的はこちら。
「いかに健康的に生活するか」
非常にシンプルです。
真理はいつも誰にでもわかりやすい簡単な言葉で説明できます。
アーユルヴェーダでは健康的に生活するために時間を2パターンに分けて考えています。
1.1日をいかに生きるか?
2.一生をいかに生きるか?
そして病気を治す、予防する側面でも2パターン分けて考えています。
1.健康な部分をいかに健康的に維持するか?
2.悪い部分をいかに治すか?
この4つの問いに最良の答えを提示しているのがアーユルヴェーダです。
もうひとつ付け加えておきます。
健康な状態というのがどういう状態かというと
1.発汗(汗が出る)
2.排尿(尿が出る)
3.排便(便が出る)
この3つの機能が問題なく機能していることがアーユルヴェーダでは健康のひとつの目安にしています。
例えば「1日をいかに生きるか?」についてアーユルヴェーダでは朝4時~5時に起床をして体温と同じ温度のお湯を500ml飲む、とかお腹が空いたらご飯を食べてよい、など1日の生活について細かく決められています。
ご飯を食べた後、お腹の中が食べ物1/3、水1/3、1/3は空なるのがの理想的な状態です。
そして「一生をいかに生きるか?」の例として、衝撃的だったのはアーユルヴェーダ的に昼寝はダメだそうです・・・。
昼寝を許されるのは5歳以下の子ども、妊婦、60歳以上の人、病気の人のみです。
健康的な成人は昼寝は推奨されていません。昼間に寝ると病気になる確率があがります。
シエスタ大好きな私はとてもショックを受けました。。きっとスペイン人もショックを受けていると思います。
一生のうち、赤ちゃん、子供、成人など年齢に応じて健康的に生活するための決まりが異なります。
ドーシャタイプって何?
ドーシャタイプと聞くと血液型のように自分の決められた体の体質だと理解している人がいます。
私もそうでした。
いつも私のドーシャタイプが「ピッタ・カパ」と言われるので私の体質は「ピッタ・カパ」だと信じていました。
間違いではないのですが、正解でもないです。
ミマリ先生曰く、
一般的なアーユルヴェーダの考えでは、幼少時代はカッパ、16歳まではピッタ、60歳以上はヴァーダで、幼少時代はカパタイプによくないものは食べない、16歳まではピッタタイプによくないものは食べない、60歳以上はヴァータタイプによくないものは食べないようにします。
あくまで一般論なので、体格など個人差によって年齢以外でもドーシャタイプはかかります。
そして、3つのドーシャタイプのバランスが取れることを目標にしているため、私のようにピッタ・カパの人はピッタ・カッパを抑えるような食事やトリートメント、ヨガなどの運動をします。
私は、揚げ物、エビ、辛いもの、カシューナッツは大体食べてはいけないものに入っていたりします。
今までたくさんのお客様の問診を通訳してきましたが、好きな食べ物が食べてはいけないもので苦手な食べ物は食べないといけないものになる人が非常に多いです。
人っておもしろいですね!
また、水を飲む量が少なすぎる、鼻と喉が弱い、というのも大体日本人は指摘されます。
ドーシャタイプは固定の体質ではないので、厳密にいうと
「今の私はピッタ・カパタイプ」
が正しい言い方になります。
スリランカでアーユルヴェーダトリートメントをしたり、ヨガをしたり、自分の体に良い食べ物を口にしたりすることが先ほどの「健康的な部分をいかに健康的に維持するか?」「悪い部分をいかに治すか?」の話につながってきます。
非常にざっくりではありますが、いつまで経ってもパンチャカルマの話に進まないので次ページからパンチャカルマのご案内をします。