スリランカ・アーユルヴェーダの名医が語る健康とは?

アーユルヴェーダ
マンゴーハウスが手配するアヌラーダプラの名医(以下名医)は先祖代々医者の家系であり、引き継がれてきた膨大な知識と臨床診断・治療での体験、そして専門書籍で得た深く幅広い知識により40年の間、スリランカ国内に限らず海外も含め数十万人の患者を治療してきました。その中でも特に心臓や循環器系の病気と不妊治療に於いてとても有名なお医者様です。
昔、私たちにはスリランカならではの治療法がありました。村の医者の言う薬草や渡される丸薬で病気を治していました。
しかし発展していく世の中で、西洋の様々な治療法が広く知れ渡り、病気の研究も進み、治療も次々と発見と工夫がなされてきました。それらの中には、ほんの数秒で病気を突き止めるかんっき的なものもあります。
しかし人々の病気は減ることなく、様々な病菌が新たに発見され続けています。それはなぜか?そお疑問には今まだ答えは見つかっておりません。

アーユルヴェーダの治療はスリランカでも大変重要な事項のひとつで、私も今日様々な場面でその重要性を再認識することがたくさんあります。日進月歩世の技術向上や生活様式の変化に伴い、病気もまた増えているのです。
昔、私たちは森の中で木々に囲また生活で空気がとても澄んでいました。そして食べ物・飲み物も余計な添加物や混ぜものもない、自然の恵みそのままとてお簡素なものでした。全てが新鮮で体に害をもたらすようなものはありあせんでした。今日、病気が増えている一番の原因の一つは食べ物や飲み物によるものが多いです。

今、私たちが毎日食べている食品は手間がかからず素早く簡単に調理できる利便性の高い半加工や加工食品のウエイトが増しています。しかし、それらを使う事で逆に私たちは病気の世界に手招きされ、呼び寄せられてしまっているようなのです。

アーユルヴェーダもメディカルサイエンスの知識が必要

アーユルヴェーダの治療薬は薬草・植物の根・花・樹皮などから、患者の状況に合わせ必要とされる薬の効果が高い要素を摂っており、それらは体に優しくアレルギー性のないものなのです。
まず医師として忘れてはならないことは十分な科学的裏付けの知識も踏まえて、診察や投薬をすることが重要なのです。そのためにアーユルヴェーダの医師になった際、過去より受け継いできた伝承医療と共に西洋医学や科学に基づく知識もしっかりと理解し、体得しなくてはいけません。そうでなければ目的の治療をきちんと続けていくことができません。
同時に患者に示す薬の注意事項を医師の他に薬を扱う人達にもその効能と共に、取扱い方をつたえていかなくてはいけません。

期限切れの薬での治療は意味がない

私が患者に投与する薬は全て植物からとった製薬で、植物の根・樹皮・葉・花・実より作ったものを治療に使います。これら乾いた樹皮・実や、生の樹皮・根はそれぞれ薬効性のある時期と期限があり、それを考慮したものでなければ薬としては意味をなしません。
適切でないものを使うと病気が治るまでに時間がかかったり、治らなかったりするのです。
例えば薬草の置いてある薬局などでは何か月も前の葉・樹皮・根の古くなって使えないものがあり、薬を買いに行くと店のどこかから探し出して渡してくれます。
それらはいつ仕入れたのかもわかりません。
患者は期待を胸に家に持ち帰りさっそく薬を作り飲みます。しかし病気は一向によくなりません。
やがて医者の診察が悪いせい(藪医者)だと不審・不満を言うのです。
・・・間違っていたのは何だったのでしょうか・・・それは薬が古く効能が期限切れの状態であったのです。このような事が起きないよう、本来は国が薬草の効力を保てる環境や基準を考慮し、っきちんと薬としての薬草を患者に渡せるよう考えていかねばなりません。
薬に関わる全ての人が薬草の効能と取扱方、有効性・期限の一定知識を持っていかなければならないというのが私の考えです。
もちろん、患者自身もこの知識を持つ事が大変重要で「処方された通りの薬で、自分がこれから良くなるんだ」との思いを一人一人の心に芽生えさせ、「薬効性のあるものを自分でも確かめてきちんとそろえ、早く元気になりたい」との思いにつながるのです。それがとても大切なことなのです。

小ナスの根の代わりにナスの根を使っても意味がない

もうひとつ重要なことがあります。今日まで多くの人が「使わなくてはいけない薬草の代わりに、外見はよく似てはいるが、薬として効能のないもので代用する」という事です。薬効としての子ナスの根の代わりにナスの根を使っても全く意味がないのです。両方が持つ滋養と効能は別なのです。
例えば効能を発揮するために医師から10種類の薬草が処方された時、1つとして町がいや過不足があってはいけません。求める薬草がぴったりと全て必要なのです。1つたりとも似て非なるものがあっては効果が発揮されないのです。
このような理由で今日のスリランカでのアーユルヴェーダ治療において問題が起こったり、まず医療関係者自身が「何故そうでなければいけないのか」という薬学や科学上の意味を含め、一人一人が理解と判断力を高めていかなければなりません。

血圧が低ければ病気も少ない

質問:「最近、心臓の病気がとても多いですが、名医が考える原因は何ですか?」

最近、よく聞く心臓の病気を持つ患者の中には小さな子供もおり、「世の中が近代化すれば病気もまた近代化していく」のです。
昔はそれぞれの村々で個々が気をつける事により問題なく生活しているだけの食糧の調達と食事のシステムがありました。自然の様々な種類の実、豆類などがあり、取り巻く環境も人々に優しくバランスが取れた状態でした。そのため食品や食事も各々の人の体に合った良い状態であったのです。
今はそれがなく、多くの人々の生活は害のある塵、埃、油分の多い環境です。食品や障子も一見バラエティに富んでいるいるような感じはしますが、人々の健やかな体に合わない状態になってしまっているのが現状です。
特に成長期の子供たちがそのように作られた食事に慣れ、慣らされてしまっていることです。運動もほとんどせず心と体のバランスも気がつかぬ間に諸々のストレスを受け、その為にその為に心臓や循環器系の病気が多くなってしまっているのです。子供たちは朝からコンピューターやゲームに夢中となり間食や菓子・飲料は無制限。その結果、体中に様々な弊害や病気が出てきているのです。これらは社会問題として色々な場所でもよく見かけることです。まずこの状態を変えなくてはいけません。

私達医師はスリランカならではの治療法としての「薬」だけではなく、健康に過ごす「食事のとり方」も教えているのです。

質問:「病菌よっては代々遺伝するものもあると聞きますが?」

代々の遺伝子に起因する病気はもちろんあります。しかし各自が日常生活での心身のバランスのあり方を自分自身で考え、かつ実践することが大切です。
「心のバランス」の根底にあるのが信仰の力です。そして「食のバランス」はその人の自覚と工夫次第で生活や体質をも改善し、やがて心身の調和に繋げていくことが可能になのです。
偏食や過食を改め、その人の体に合った美しくヘルシーな食事を意識してバランスよくとる事です。そのひとつに高血圧にならないような食事をとるように気をつけていれば病気も減るのです。これらの事柄についてはスリランカならではの治療法は勿論、様々あります。

間違っているのは私達の食事の仕方

唐辛子を石で潰せば体によいが、唐辛子粉を使うと体によくない

質問:「名医が考える病気の主な原因のひとつは食事だということでしょうか?

日々の食事への注意と感心はとても重要です。一昔前の家を考えてみましょう。そのころ唐辛子を料理に使うのには「ミリスガラ」で、石で唐辛子を潰して料理に使っていました。
そうすると美味しいだけでなく体にも良いものになるのです。今使われている唐辛子粉はお腹にガスが溜まる原因となります。それなれば唐辛子よりコショウの方が体によいのですが、さらにコショウは体を冷やす食物となります。
「ココナッツミルクライス」と食べた後に「ミルクティー」を飲むような食事は全く意味がありません。

こういった食事のとり方の違いや改善策は今の世の中で、一体どれだけあるのでしょうか?
ポルトガル人がスリランカに持ち込んだ「ラタデル(パンの木の実 ※注1)」の例を見ましょう。昔は各家でココナッツオイルを作り、それは体によい事を経験的に知っていた私達はラタデルをココナッツと一緒に料理して食べました。するとラタデルにあった体に悪い要素が打ち消された食品に変わったのです。

※注1 ラタデル(パンの木の実のひとつ)
大航海時代、スリランカを植民地にしようとしたポルトガルが持ち込んだものとされています。ラタデルは食べると体がだるくなり、動きが緩慢になることを知っていたポルトガル人は植民地化に抵抗するスリランカ人に広く伝え、これを食べさせることにより彼らの反抗する意欲と動きを封じ、植民地化を成功させようと考えたとされています。
スリランカ人はそれを調理する際にココナッツとライムを入れ料理することにしました。ココナッツオイルはラタデルの負の特性を無くす効果があった為、結果的にこの計画は失敗に終わったようです。スリランカでは現在でも体がだるくなるという理由で、ラタデルはココナッツミルクで茹でた後、最後にライムを絞って食べています。

現代のスリランカでは人々は日々ますます忙しく過ごす生活となりました。
「食事は朝食と昼食をしっかりとり、夜は軽く済ませる」スタイルが医学的にも意にかない体に良いのです。このような事をもっとたくさんの人が真剣に考え、少しでも実行すれば体調がすぐれない人や病気になる患者はかなり減るでしょう。
食事の内容やとり方を科学的な知識をもとに、それぞれが自分に合うスタイルで無理をぜず意識的に変え続けていく事が、体調を整え体質をも改善し、心身をヘルシーな通常値に近づけていくのです。